「隣地境界線」とは?ルールを守って家を建てよう

 

新築で注文住宅を建てる場合、土地探しから行う必要があります。土地探しではさまざまな法規制や条件をクリアしなければなりませんが、今回は「隣地境界線」についてご紹介します。これから住み続ける家を建てる際にトラブルが起こることのないよう、しっかりルールを守るようにしましょう。

 

◼ 隣地境界線とは

「石積みの家」

 

新築で注文住宅を建てる際、家づくりはもちろん土地探しも重要なポイントとなります。土地を探している際に「隣地境界線」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。

 

隣地境界線とは、隣の土地との境目を示す線のこと。土地の隅の点を「境界点」といい、境界点と境界点を結んだ線のことを「境界線」といいます。境界点を示すために境界標というものが設置されることがあるのですが、必ずしも境界標があるとは限りません。

 

土地と土地の境界線が全て明確であれば隣地境界線に関するルールは必要ないのですが、境界標がないなどの理由から境目が分かりづらい土地が多いのが事実。隣り合った土地の所有者同士で境界線をめぐってトラブルになることもあるため、土地探しの際にはあらかじめルールを知っておくことが大切です。

 

・敷地境界線との違い

敷地境界線とは、建物の敷地の外周のこと。敷地には、隣の土地に接している部分と道路に接している部分がありますよね。そのため敷地境界線は、道路境界線と隣地境界線に分けられます。つまり隣地境界線は、敷地境界線の一種ということになります。

 

◼ 隣地境界線に関するルール

「Mid-Century House」

 

隣の土地の所有者とトラブルになることのないよう、隣地境界線に関するルールを頭に入れておきましょう。民法において、建物は境界線から一定の距離を保たなければならないと定められています。特にこの「距離」についてのルールには注意が必要です。

 

・境界線から50cm以上離して建築

建物を建てる場合、境界線から50cm以上離して建築しなければなりません。50cm以上離すことなく建築しようとした場合、隣地の所有者は建築中止や距離を離すことを求めることができます。

 

・「慣習」によっては50cm未満でも良いことも

多くの場合、境界線から50cm以上離して建築する必要がありますが、地域によって50cm離すことなく建築する風習があることも。例えば東京の都市部では、敷地面積が狭く家が密集しています。隣の土地と50cm以上開けるのが難しいため、50cm未満でも建物を建てても良いという「慣習」があることになります。

 

慣習に従って50cm以上離す必要がない地域があるのは事実ですが、家を建てるエリアにおいて必ずしもその慣習があるかどうかは明確ではありませんよね。認識の違いによってトラブルが生じる可能性もあるため、隣地の所有者の意見を伺うようにしましょう。

 

・耐火構造などの条件を満たせば50cm未満でも可

また防火地域や準防火地域内で、外壁が耐火構造である場合、外壁を境界に接して建てることができるとされています。これは民法上の決まりではなく、建築基準法において特別に定められている決まりです。

 

・窓や縁側は境界線から1m以上離す

プライバシーを守るために、窓や縁側は境界線から1m以上離すか目隠しを付けるという決まりもあります。目隠しを設置する義務が生じるのは、隣の土地を見通せる場合に限ります。そのため境界線から1m以内の窓であっても隣の建物の裏側しか見えないような場合には目隠しの設置義務はありません。

 

◼ ルールに違反した場合

「ガレージハウスResortModern」

 

隣地境界線に関するルールをご紹介してきましたが、ルールに違反した場合はどのようなことが起こり得るのでしょうか。

 

・隣地の所有者とのトラブル

隣地境界線に関するルールを守らなかった場合、隣の土地の所有者とトラブルになってしまうことがあります。そもそも境界線に関するルールは、他人の所有地を侵害しないためだけではなく、日当たりや風通しの確保、災害時の安全確保といった目的もあります。

 

ルールを守らなければ、隣の土地の所有者の快適な生活や安全性を侵害してしまうことになるため、ルールは必ず守るようにしましょう。

 

・建築中止や変更を請求される

隣地境界線のルールを守らず建物を建築した場合、隣地の所有者から建築の中止や変更を請求される可能性があります。建築の中止ではなく変更の請求だったとしても、距離を離して建て直すためには土台の部分からのやり直しが必要です。そうなると追加費用や工期の延長などが考えられるため、はじめからルールを守って家を建てるようにしましょう。

 

建物が完成したあとや建築を始めてから一年以上経過したあとだと、建築中止や変更を請求することはできませんが、その代わりに損害賠償義務が発生する可能性が高くなります。

 

・損害賠償義務

隣地境界線のルールに違反すると、隣地の所有者から損害賠償を請求されることも。請求額は隣地の面積や日当たり・風通しの侵害度合いなどから算出されますが、ルールに違反しているかどうかは距離を見れば明確です。相応の損害賠償義務を負う可能性をしっかり頭に入れた上で、ルールを守って家を建てるようにしましょう。

 

◼ 隣地境界線を確認する方法

「2階に中庭のあるガレージハウス」

 

隣地境界線に関するルールを守らなかった場合のリスクをご紹介しましたが、ルールを確実に守るためには、隣地境界線を確認しておくことが大切です。

 

・地積測量図を見る

地積測量図とは、土地の面積や隣地との境界、位置関係などが記載されている公的な図面のことを言います。土地の登記を行う際に添付する必要があるため、まずは法務局で地積測量図を取得しましょう。

 

地積測量図は何十年も前に作成されたものが多いため、測量の精度が低く、境界標の位置が明確に分からない場合もあります。そのため地積測量図のみでは境界を特定できない可能性があります。

 

・境界票を見る

地積測量図だけでは明確な境界が分からなかった場合、現地に境界標があるかどうかを確認してみましょう。敷地の角全てに境界標が揃っていなければならないため、角全てに境界標がない場合は新たに設置する必要があります。

 

地積測量図と現地の境界標、登記簿謄本の3つが一致していれば境界線が明確になります。塀やフェンスがあれば境界線とみなされるように思われますが、塀やフェンスと境界線とは別物なので注意が必要です。

 

・専門家に測量を依頼

地積測量図や現地を確認しても境界が特定できない場合、土地家屋調査士といった専門家に依頼して、正確な測量を依頼するようにしましょう。正確に測量して境界が判明したとしても、公的に境界が特定されたことにはなりません。公的に特定するためには筆界特定制度を利用してみましょう。

 

◼  まとめ

新築時に注文住宅を建てる場合、土地探しから行う必要があります。土地を決める際、隣地との境界線についてのルールを知らなければトラブルを引き起こしてしまうことがあります。隣地境界線を明確にした上で、トラブルの可能性を潰してから家を建てるようにしましょう。

 

ホームスタイリングは注文住宅の設計を行なっている会社ですが、新築時の土地探しのお手伝いも行っております。土地探して疑問点や気になることがあれば、お気軽にご相談ください。横浜や湘南で注文住宅の建築をご検討の際もご相談をお待ちしております。